公認会計士の将来性は?これからの公認会計士に求められるスキル、キャリアパスについても解説!

2025年3月24日(記事更新日:2025年3月24日)

公認会計士の需要は、監査基準の強化や企業の活動範囲の広がりによって増加しています。 同時に、AIやテクノロジーの進化により業務内容は効率化され、人間にしかできない判断力がさらに重要となってきました。
今回の記事では、公認会計士の現状と将来性、求められるスキル、業務内容について解説します。公認会計士を目指している方や現役の方は、今後のキャリアを充実させるヒントにしてください。需要の高まりとテクノロジーの進化を背景に、公認会計士としてさらなる成長を目指しましょう。

公認会計士の現状と将来性

公認会計士は、厳格化する監査基準や企業活動の多様化により、需要が拡大傾向です。また、監査時間が増える一方で、AIの導入による効率化も進み、以前と比較して業務内容も変化しています。今後の公認会計士の役割やキャリアの展望を解説します。

監査業務の厳格化による需要の高まり

監査基準の強化により、公認会計士の監査業務の負荷が増大しています。主に国際基準への対応、品質管理の強化、独立性確保の厳格により作業工数が増加、企業活動が多様化したことを受けて、監査において実質的かつ高度な判断が求められるようになりました。

また、公認会計士の働き方も多様化し、監査法人以外にも企業の経理・財務、コンサルティングファームなど、様々な分野で活躍の場が増えてきています。

テクノロジーによる業務内容の変化

仕訳データの集計、異なるデータの突合作業、前年の数値チェックなどの定型業務はAIなどにより代替できます。従来、公認会計士が手作業でおこなっていたデータの整理や異常検知が自動化され、業務効率が大幅に向上しました。

一方、専門的な判断やコンサルティング業務はどんなにAIが発展しても、人間の最終的な判断が必要です。AIが数多くの財務情報の中から、粉飾決算などのすべての不正を見抜くことは難しいとされています。架空売上の計上や在庫の水増しなど複数の手法が用いられており、表面的には正当な取引に見えるからです。公認会計士はAIが分析した結果に基づき、監査では財務情報の正しさを「適正」か「不適正」で判断し、専門性を活かして戦略的なアドバイスを提供します。今後も、AIでは代替できない人間の判断力や洞察力が求められるでしょう。

公認会計士の平均給与

厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、公認会計士の平均年収は746.7万円です。平成18年から令和5年までの18年間、公認会計士試験の合格率は約10%と低いものの、給与は高い傾向にあります。

公認会計士は会計監査の独占業務を担っており、経済活動の基盤となる役割のため、景気の好不調の影響を比較的受けにくい職業です。不況時には、企業が経営の見直しや資金調達をおこなう必要があるため、ニーズが高まる傾向にあります。

出典:厚生労働省の職業情報提供サイトjobtag 公認会計士 

公認会計士の業務内容

公認会計士は、企業の財務情報を検証する監査業務を独占業務として担い、財務の信頼性を確保する重要な役割を果たします。これに加えて、税務業務や経営コンサルティングなど、幅広い分野で活動しています。監査以外の業務も多岐にわたり、企業の成長を支える存在として、幅広いニーズに応える専門職です。ここでは、公認会計士の業務内容を詳しく解説します。

独占業務

公認会計士の独占業務は主に監査業務に関連しており、公認会計士法に基づき、独占業務は公認会計士の資格を持った者だけがおこなうことができると定められています。

公認会計士は、企業が作成した財務諸表が会計基準に従って適切に作成されているかを確認し、その結果を監査報告書として取りまとめます。​毎年、公認会計士や監査法人による法定監査を受けることが義務付けられている上場企業や大会社が対象です。公認会計士は、監査業務を通じて、企業の財務情報の信頼性を確保する重要な役割を果たしています。

独占業務以外の業務

公認会計士は独占業務である監査業務に加えて、独占業務以外にも税務業務やコンサルティング、会計業務などさまざまな業務をおこないます。

税理士登録をおこなうことで、税理士の独占業務である税務業務もできるようになります。確定申告や法人税申告書などの税務書類の作成、法人や個人事業主に代わって税務の申告、申請、請求等をおこなう税務代理、法人や個人事業主に対して税務に関するアドバイスをする税務相談などが可能です。

高い専門性を活かして経営戦略や業務改善に関する助言、資金調達や資金管理に関するアドバイスをするコンサルティング業務もあります。上場を目指す企業の上場準備や財務報告の整備、海外進出を考える企業へ国際財務に関するアドバイスなど幅広い分野でも活躍が期待できるでしょう。

公認会計士は監査業務だけでなく、企業の経営や財務に関する幅広いニーズに対応する必要があります。

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これからの公認会計士に求められるスキル

現代の公認会計士は、従来の財務知識だけでなく、テクノロジーやAIの活用、グローバル対応、そしてクライアントとの柔軟なコミュニケーション能力が必要です。データ分析や業務効率化のためのAI活用はもちろん、国際基準に精通し、英語力を活かした国際業務への対応も求められます。さらに、クライアントのニーズに寄り添い、信頼関係を築く力はAIには代替できません。ここでは、これからの時代に求められる公認会計士の多様なスキルについて解説します。

テクノロジーやAIを使いこなすスキル

膨大なデータ分析が必要な公認会計士は、テクノロジーやAIを使いこなすスキルが重要です。クライアントから提供されるデータの収集と整理、分析ツールの活用、クラウド会計システムの操作や管理に関する知識があれば、業務をスムーズに遂行できます。

異常検知のシステムなどRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIを活用した業務効率化も求められます。テクノロジーやAIを使いこなすスキルを身につけることで、専門性の高い業務に集中でき、クライアントに対してより価値のあるサービス提供ができるでしょう。

より高度な専門コンサルティング/アドバイザリースキル

高度な専門コンサルティングやアドバイザリースキルは、公認会計士がクライアントに対して価値を提供するために不可欠です。AIは膨大なデータの分析には優れていますが、分析結果をもとに企業の成長戦略を立案し、リスクに対応した提案をおこなうのは困難です。

財務状況を把握して、適切なアドバイスをおこなうための財務分析スキル、企業や事業の価値を評価するスキル、業界特有の知識や最新の法規制などの理解も欠かせません。公認会計士には知識や実務経験に基づき、監査や税の専門家として、より高いレベルで見解を示し提案する能力が求められます。

グローバル化に対応できるスキル

企業のグローバル化が進むなかで、業界や市場に対する専門的な見方も重要になっています。国際的なビジネス環境での競争力を高めるのに必要なサービスの提案ができるためです。グローバルなビジネス環境下では、英語が共通語として使用されることが多くあります。海外のクライアントと円滑なコミュニケーションを図るためにビジネスレベルの英語力があると良いでしょう。英語での報告書や提案書の作成にも役立ちます。

また、国際的なビジネスには日本にはない特有のリスクがともないます。各国の税制や法規制を理解し、クライアントに対して適切なアドバイスが必要です。国際会計基準(IFRS)やUSCPA(米国公認会計士)など、国際的な対応力が求められます。

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クライアントとのコ​​ミュニケーションスキル

クライアントとのコミュニケーションスキルは、AIには代替できない公認会計士に求められる重要な要素です。

監査に必要な書類のやり取りを形式的におこなうだけでは、適切な情報や書類がでてこない可能性があります。公認会計士とクライアントが直接やり取りすることで、双方の理解が深まり、信頼関係を築く重要な機会になります。

また、クライアントのニーズや懸念を理解し、サービス内容を調整する能力も大切です。クライアントに寄り添うことで策定した戦略へのフィードバックを受け入れ、複雑な情報にもとづいてサービス改善の提案ができます。

AIで業務を効率化しつつ、コミュニケーション能力を磨くことで、クライアントから求められる公認会計士を目指しましょう。

これからの公認会計士のキャリアパス

公認会計士の多くは監査法人に勤務しています。近年、監査法人以外にも活躍の場が増えており、コンサルティング、M&A、事業会社と多岐にわたります。それぞれの道には独自の魅力があり、自身のスキルや目指すキャリアに応じた選択肢を探ることが重要です。自分の理想とする公認会計士のキャリアパスを考えてみましょう。

監査法人

監査法人は、公認会計士で一番多い就職先です。監査法人ではさまざまな業種のクライアントと関わり、幅広い業務経験を積めます。多様なプロジェクトに参加する機会も多く、監査業務以外にもアドバイザリー業務、コンサルティング業務にも関与できることも少なくありません。グローバルなビジネス環境がある企業では国際会計基準への対応、企業の内部統制や法令を遵守するための支援など、ガバナンス強化に寄与する重要な役割も任せられます。システム監査などのIT領域で活躍する機会も増えています。

監査法人は監査の実務に直結するスキルを体型的に学べるため、将来のキャリアパスにおいても大きなアドバンテージとなるでしょう。

コンサルティング業界

公認会計士の知識を活かしつつ、新しいキャリアパスを考えている人にはコンサルティング業界もおすすめです。コンサルティング業界にも、戦略系、総合系、業界特化型など種類があります。ベンチャーやスタートアップ、IPO(Initial Public Offering)支援など、特定の業種や業務領域に焦点をあてたところも少なくありません。

コンサルティング業界にいれば会計監査業務以外に、多様なプロジェクトの経験を通じて、スキルアップやキャリア形成ができます。組織再編・M&A、企業再生、フォレンジックをはじめとするシステムコンサルティングなど、実務ベースで経営課題の解決に携わります。特化型コンサルティング会社は成長市場において活動していることが多く、変化に迅速に対応していく必要があるため、さまざまな経験ができます。

M&A業界

近年、後継者不足やグローバル化の進展により、M&Aの需要が増加しています。M&A業界では、企業の価値評価や財務デューデリジェンス(財務DD)が重要な業務となり、公認会計士の会計や財務専門家としての知見が求められます。買収対象企業の財務状況を正確に把握し、適切にアドバイスをおこなう能力はクライアントにとっても重要です。

他にも戦略立案、契約交渉、買収後の統合支援など多岐にわたる業務を経験できるため、幅広いスキルを身につけることができます。

事業会社

事業会社に転職をすれば、公認会計士は経営陣と直接関わる可能性が高くなります。経理や内部監査の責任者として会計や監査への対応をし、企業の戦略的な意思決定や経営に貢献することも増えるでしょう。また、経理業務以外にも、内部統制構築や開示資料作成など、幅広い業務が経験できます。

ベンチャーやスタートアップ企業などでは、CFOや上級管理職へのニーズもあります。社外取締役や監査役に公認会計士が就任するケースも増えており、キャリアの幅を広げることも可能です。

まとめ

公認会計士は将来性があり、監査に関する規制の厳格化と企業活動の複雑化により、需要が増大しています。さらに、AIの導入による業務効率化が進む一方で、専門的な判断やコンサルティング能力といった人間ならではのスキルも重視されます。今後は、テクノロジーの活用、グローバルな対応力、クライアントとの信頼構築が求められるでしょう。幅広い分野での活躍が期待される公認会計士として、将来性を見据えたキャリア形成を意識してみてください。

この記事の監修者

伊藤之誉

長野県長野市出身。慶応義塾大学商学部卒業。1998年に国内最大手の税理士事務所(現デロイト トーマツ税理士法人)に入社後、上場企業から中小企業まで多種多様なクライアントに対する申告書作成業務、税務調査立会など法人の税務全般業務に従事。連結納税や国際税務のコンサルティング、個人所得税の申告書作成、税務デューデリジェンス業務にも従事。執筆、外部研修講師なども経験。2011年に伊藤之誉税理士事務所を独立開業 。軽いフットワークを武器に難解な税法をわかりやすくお伝えし、経営者の皆様と共に成長し、喜びをわかちあえることを理想としています。

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